ファイナルファンタジータクティクス (FFT) は、1997年にスクウェア(現スクウェア・エニックス)から発売されたシミュレーションRPGの金字塔です。
「オウガバトル」シリーズを手掛けた松野泰己氏による、架空の世界「イヴァリース」を舞台にした初の作品であり、その重厚な政治劇、身分差、そして「歴史の真実」を問うストーリーは、発売から四半世紀以上経った今なお、多くのプレイヤーを魅了し続けています。
単なる「FFシリーズの派生作品」という枠を超え、一つの独立した芸術作品として完成されている傑作です。
物語は、大国イヴァリースで起きた継承戦争「獅子戦争」を背景に展開します。
主人公は名門ベオルブ家の末弟ラムザと、平民出身でラムザの親友であったディリータ。
「家柄」という絶対的な壁と、貴族たちの醜い権力闘争に翻弄されながら、二人の道は決定的に分かたれていきます。
「歴史に残るのは勝者のみ」「正義とは何か」という普遍的かつ重いテーマが、シェイクスピア劇のような格調高い台詞回しで描かれます。
特に、ラムザが自身の信じる正義のために孤独な戦いを続ける姿は、プレイヤーの胸を締め付けます。
エンディングの解釈は今も議論が交わされるほど深く、余韻は強烈です。
FF3やFF5でおなじみのジョブシステムを、SRPGというジャンルに見事に融合させています。
「見習い戦士」「アイテム士」といった基本職からスタートし、条件を満たすことで「忍者」「竜騎士」「黒魔道士」、さらには「算術士」「侍」といった上級職が開放されていきます。
最大の特徴はアビリティのカスタマイズ性です。
「ナイト」の堅牢な装備で身を固めつつ、「白魔法」で回復役をこなしたり、「忍者」の二刀流スキルを「モンク」にセットして素手で2回攻撃したりと、組み合わせは無限大。
自分だけの最強ユニットを育成する楽しさは、時間を忘れて没頭してしまうほどの中毒性があります。
バトルは、高低差のある3Dマップで行われます。
単に移動して攻撃するだけでなく、以下の要素が戦略を複雑かつ奥深くしています。
3Dマップの上に配置された2Dのキャラクタードット絵は、吉田明彦氏のデザインを見事に再現しています。
デフォルメされつつも細部まで書き込まれたドット絵は、歩く、剣を振る、苦悩するといったモーションの一つ一つが丁寧に作られており、今のゲームにはない温かみと説得力があります。
崎元仁氏と岩田匡治氏によるオーケストラ調のBGMは、イヴァリースの重厚な世界観を完璧に表現しています。
オープニングのハープの音色から始まるメインテーマや、悲壮感漂う戦闘曲「Antipyretic」などは、聴くだけでゲームの情景が目に浮かぶ名曲揃いです。
『ファイナルファンタジータクティクス』は、四半世紀経っても色褪せない、SRPGの最高傑作の一つです。
「持たざる者」の悲哀を描いたストーリーは、大人になった今だからこそ深く刺さるものがあります。
システム面でも、今のゲームに引けを取らない(むしろ超えている部分もある)完成度を誇っています。
未プレイの方はもちろん、かつてプレイした方も、今一度イヴァリースの歴史を紐解いてみてはいかがでしょうか。
きっと、新たな発見と感動が待っているはずです。
まだプレイしていない人が羨ましいと思えるほど、記憶に残る素晴らしい作品です。