オクトパストラベラー0は、スクウェア・エニックスが誇るHD-2D RPG「オクトパストラベラー」シリーズの最新作であり、時系列的には初代「オクトパストラベラー」の前日譚にあたる作品です。
舞台はおなじみのオルステラ大陸ですが、時代は数百年ほど遡ります。
後に伝説として語られることになる「覇者」たちや、初代主人公たちの先祖にあたる人物たちが登場し、あの大陸の歴史がどのように形作られたのかが描かれます。
「0」というナンバリングが示す通り、シリーズの原点に回帰しつつも、システム面では野心的な試みが多数盛り込まれた意欲作です。

本作の主人公もまた、生まれも目的も異なる8人の旅人たちです。
しかし、今回は彼らの立ち位置が少し特殊です。
王国の建国に関わる騎士、邪教の誕生を目撃した神官、禁断の知識を求めた学者など、歴史の教科書に載るような「大きな出来事」の当事者たちが描かれます。
初代や「大陸の覇者(スマホ版)」で断片的に語られていた伝承や、遺跡の成り立ちなどが、彼らの物語を通して鮮明に解き明かされていく過程は、シリーズファンにとって鳥肌モノの体験となるでしょう。
もちろん、シリーズ未経験者にとっても、重厚な群像劇として十分に楽しめる独立したストーリーになっています。
「ドット絵」と「3DCG」を融合させたHD-2D表現は、本作で一つの到達点に達しました。
過去の時代を表現するために、全体的にセピア調や彩度を抑えたシックな色使いが採用されており、まるで古い絵画の中を旅しているような感覚に陥ります。
光と影の表現も強化され、焚き火の揺らぎや、ステンドグラスから差し込む光の粒子などが、息をのむほど美しく描かれています。
カメラワークもダイナミックになり、イベントシーンでの演出力が格段に向上しています。
本作最大の特徴は、8人の主人公を「表の4人」と「裏の4人」という2つのパーティに分けて運用するシステムです。
戦闘中、ターンを消費せずに前衛と後衛を入れ替えることができ、傷ついた仲間を下げたり、敵の弱点に合わせてメンバーを総入れ替えしたりといった戦術が可能になりました。
これにより、「控えメンバーのレベル上げが面倒」というRPG特有の問題を解消しつつ、総力戦の熱さを実現しています。
後のシリーズで「ジョブアビリティ」として体系化される前の、原始的で荒削りな技が登場します。
例えば、剣士の技はまだ洗練されておらず「ただ力任せに振るう」ようなモーションだったり、魔法も制御しきれていない暴走気味のエフェクトだったりと、時代設定をシステムに落とし込んでいます。
性能も尖ったものが多く、リスクはあるが超高火力な技など、ロマンあふれる構成になっています。
シリーズ伝統の「敵のシールドを削ってブレイクさせ、ブーストで大ダメージを与える」爽快感は健在です。
今回はさらに「オーバーリミット」という新要素が加わり、ブレイク中の敵に対してさらに追い打ちをかけることで、ダメージ限界突破を狙えるようになりました。
『オクトパストラベラー0』は、シリーズのファンに対する最高のファンサービスであり、RPGとしての完成度も極めて高い傑作です。
「過去を知ることで、未来(1や2)がより輝く」という前日譚の理想的な形を示してくれました。
古き良きドット絵RPGの進化系を体験したいなら、絶対に遊ぶべき一本です。